教授あいさつ

教授 佐野 力 教授 佐野 力 Tsuyoshi Sano

愛知医科大学病院は、住みたい街の全国ランキング上位に選ばれ続けている長久手市を中心とした、地域医療の中核を担う基幹病院です。高台に位置する本学の病棟の高層階からは、周囲を一望でき、名古屋港のトリトン橋、名古屋駅の高層ビル群も確認することができます。そして豊かな自然の中に整備されたキャンパスの前には立石池が広がっています。

当教室の特徴は専門疾患を扱う4つの診療グループで患者さんの治療を行っていることにあります。消化器外科の若手医師は専門医になるまで、専門臓器を固定せず、上部消化管、下部消化管、肝胆膵の各グループをローテーションします。チーム医療では、一人一人の患者さんに対して誰が責任者かという事がはっきりしなくなるという意見がありますが、チーム内で意識統一と情報共有を欠かさず保ち続けることで、責任の所在がはっきりしなくなることはありません。そこにいるグループ全員が責任者なのです。少人数で患者さんを同じように常に治療していくためにはグループ診療は良い方法と考え、佐野が就任後に導入し安定したものとなっていると考えています。

腹腔鏡手術を積極的に導入していますが、病態に合わせて開腹手術で対応しており、難治がんである胆道がんに対する拡大切除、脈管合併切除、肝膵十二指腸切除など適応を検討して実施しています。その際の肝動脈の再建に関しては、形成外科の協力を得て、顕微鏡下に施行しています。
大学病院でありながらがんに対する高難度手術に偏らず、良性疾患に対しても様々な術式を数多く行っており、外科研修を行ううえで貴重な要素を備えています。
多様性を尊重しながらチーム医療を行っている当教室では、他大学出身の外科医師も半数ほど在籍し、全国に門戸を開放していることも特徴といってよいと思います。

また、消化器外科の各種資格を持った上級医とともに手術を行い、きめ細かな指導を受けることができるのも特徴です。保険収載されている胃がん・大腸がんのロボット手術のみならず、鼠径ヘルニアに対してもロボットを積極的に導入し、医療技術革新を目指しています。

外科学会、消化器外科学会の専門医取得後の次なる目標としては、内視鏡外科学会の技術認定取得、肝胆膵外科学会の高度技能専門医取得が挙げられます。資格取得を目指して、技術向上を常に意識するような指導体制を整えています。

プロフィール

略歴

  • 名古屋大学第一外科(腫瘍外科)(1995年6月~1997年12月)
  • 国立がんセンター中央病院(2001年4月~2006年3月)
  • 愛知県がんセンター中央病院(2006年8月~2014年2月)

所属学会(資格)

  • 日本外科学会(専門医、指導医)
  • 日本消化器外科学会(専門医、指導医、評議員)
  • 日本消化器病学会(専門医、指導医)
  • 日本肝胆膵外科学会(高度技能指導医、評議員)
  • 日本胆道学会(指導医)
  • 日本膵臓学会(指導医)

教室の変遷

愛知医科大学外科学講座は1972年の開学時には、第一外科、第二外科の2つの大きな講座として誕生しました。1972年、山本貞博先生が名古屋大学第2外科より初代第一外科教授に就任され、その後小池明彦教授、成瀬隆吉教授の時代を経て、2001年に臓器別再編が行われ、第一外科より乳腺内分泌外科、総合診療外科、第二外科から血管外科、心臓外科、呼吸器外科が分かれ第一・第二の消化器部門が統合されて消化器外科が誕生しました。
初代消化器外科主任教授は野浪敏明先生で、2014年に2代目の主任教授として佐野が就任いたしました。愛知医大の第一・第二外科の両派を受け継いだ単一の科としてはまだ歴史の浅い教室です。消化器外科全般と小児外科を担当していますが、門脈圧亢進症の外科治療についての歴史は古く、数々の業績を収めてきました。また、現在は行っていませんが、生体肝移植の経験も兼ね備えております。

私の愛知医科大学消化器外科着任と新病院開院がほぼ時期を同じくしており、消化器外科全体の手術件数は右肩上がりとなっています。それは多くの要因が絡み合った結果と考えています。小児外科に金子健一朗特任教授を迎え、手術への対応幅が格段に広がったこと。新病院での手術室数の拡充と麻酔科の手術運営により、診療各科の手術枠が大幅に拡充され、その枠を余すことなく手術に充当する努力を続けてきたこと。消化器外科医局員全体に手術待機時間を極力短くしようという意識が根付いたこと。個人ではなくグループを中心とした緊急手術の適応決定と速やかな実行。消化管内科と消化器外科の朝のmeetingが機能していること。つまり前日の内科外科当直者を含め、症例の検討を行い、外科からは検査のお願い、内科からは手術適応の相談、両科から問題症例のあぶり出しと最善策を検討し、遅滞ない緊急手術の実施に努めています。
地域医療の基幹病院であり、連携する医療施設とのコミュニケーションは重要なポイントです。遅滞なく行うことはもちろんのこと、手術診療録を含めた詳細な資料の作成は医局員一同の意識に植え込まれていると認識しています。

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Professor Interview - 教授 佐野 力 インタビュー